Music Review : 2008年3月

IN FLAMES / THE MIRROR'S TRUTH 【90点】

IN FLAMES / A SENSE OF PURPOSE 【98点】

coverフレドリック・ノルドストロームのスタジオを買い取った、バンド所有のスタジオ「IF STUDIO」としてじっくり制作された通算9枚目のフルアルバム。
全体的な感想としては、メロディアス度が高い、ギターソロがいつもより多い、ゴリゴリとへヴィに押し切るのではなく空間に広がりがある、適度なデジタル風味が音に厚みを与え、深みを感じさせる、緩急(テンポ)の使い分け・アレンジの妙が冴えてる…といったところ。アプローチは多彩なのに、IN FLAMESという看板がはっきり見えるところがさすが。スピード感のある曲はわりと似たタイプが多いので、何度も聞き込む必要はある…というよりは、個人的にはストレートなHMチューンはここ数作平凡に感じてしまうところがあって、特に前作「COME CLARITY」の終盤もそうだったんだけど、ちょっとアクセントのある曲が挟まってもよかったかな。

このバンドの良さはなんといってもスルメのように噛めば噛むほど味がでるところ。1度や2度じゃ良さはわからないけど、聞き込めば好きになりそうと思わせる可能性を感じさせてくれるのがいい。
IN FLAMESはアルバムごとに進化していくことがバンドとしての目標であるし、単純に過去のアルバムと相対的に比べて評価するのは難しいですが、個人的には過去のアルバムはどれも傑作だし、今回“も”傑作です、と言い切れます。

1.The Mirror's Truth
イントロではIN FLAMESらしくないちょっと軽めな雰囲気でスタートするけど、すかさず歯切れのよいリフとアンダース・フリーデンのシャウトが炸裂。へヴィすぎないマイルドさのあるギター、サビでのヴォーカルハーモニーとバッキングのハーモニーが抜群のメロディ、そして即効性と持続性の両方を兼ね備えた深遠さを感じるリーダートラックとしては文句なしの名曲。新作を象徴するかのような1曲です。

2.Disconnected
ザクザクと疾走していく序盤ではヘドバン必至。曲中でテンポがいろいろ変わっていて、ブリッジ〜サビにかけて表情が緩やかに変わっていくメロディが抜群。

3.Sleepless Again
初期IN FLAMESを思わせるアコースティックギターからはじまり、すかさず攻撃的疾走リフに。これまたブリッジ〜サビでの抑揚とメロディのバランスやキーボードのアレンジが秀逸。決して技巧に走らないメロディアスなギターソロもいいです。

4.Alias
ミドルテンポで、じっくりとメロディを紡いでいくといういままでになかったタイプの曲。サビでのコーラスハーモニーが特徴。これもギターソロにアコースティックギターを取り入れていて、IN FLAMES的モダン&クラシックがうまく同居してます。

5.I'm the Highway
印象的なメロディのギターリフが耳に残る。サビもかなりメロディアスで、歌重視度高い。

6.Delight and Angers
クラシックなHMを思わせるザクザクっとしたリフで始まる正統派な曲。思わず縦ノリしたくなります。ライブ向きかも。サビの手前のIN FLAMESらしいギターの音が気持ちよい。

7.Move Through Me
SOILWORKっぽいフューチャリスティックなアプローチのサウンドを軸にメロディアスで力強いヴォーカルが心地よいモダンな曲。ギターソロもスピーディーでキレがある。

8.The Chosen Pessimist
8分を超える大作。淡々としたイントロからはじまって、どうなるんだこの曲は!?と思わせながらいつのまにかドラマティックな展開になって、唐突な終わり方をするという、IN FLAMESになかった新機軸となる曲。感動的。唐突な終わり方がかえって余韻をずっと引きずります。アンダース・フリーデンの表現力が素晴らしいです。

9.Sober and Irrelevant
力強く、メロディックに疾走するメタルチューン。ここからは「COME CLARITY」の終盤同様、グイグイと引っ張る曲が続きます。

10.Condemned
グルーブ感あふれるへヴィな普遍的HM曲。サビのメロディはみんなで歌いたくなる勇壮さ、キャッチーさがあります。

11.Drenched In Fear
IN FLAMESらしい煽情力あるHM曲。これもブリッジ〜サビは合唱したい。随所にテクニカルなギターソロやアレンジがちりばめられてます。

12.March To The Shore
容赦なく突っ走る疾走曲…と思いきやこれもメリハリをつけてサビでじっくりハーモニーを聴かせるなど、アレンジ力が光る曲。

13.Eraser
「The Mirror's Truth」EPのカップリング曲ですが、同曲に負けず劣らずのフューチャリスティックな浮遊感と抜群なメロディをもつ名曲。リフもサビもソロも全て完璧。

14.Tilt
ちょっと地味だけどIN FLAMESらしさが随所に出ているミドルテンポの曲。アンダース・フリーデンの振り絞るヴォーカルがよい。ソロでのツインギターのハーモニーが叙情的。

15. Abnegation
コンピレーションに提供していた曲。独特なリフに魅力を感じるスピード感あふれる曲。コンピのときとアレンジが変わっています。

ACTION / ACTION 【72点】