Music Review : 2007年8月

DIMENSION ZERO / HE WHO SHALL NOT BLEED 【90点】

4年ぶりのリリースとなるDIMENSION ZERO待望の3rdアルバム。グレン・ユングストロームはすでに脱退している模様。試聴段階でかなり期待度が高かったこのアルバム、予想通り素晴らしい内容。ドコドコとブラストビートが疾走するデスラッシュのスピード感とブルタリティは相変わらずで、仄かに漂う美しいメロディは過去の作品を凌駕。ただ激しいだけじゃないのがきっとイエスパー・ストロムブラード風味なんだけど、このサウンドに自分の妙味をブレンドする力量はさすがのひとこと。。IN FLAMESに近い曲も多くて、本編ラストの「Way to Shine」などは「THE JESTER RACE」のころを彷彿とさせるメロディが泣かせる。それから数曲でギターソロがあるのもポイントだ。激走の34分。

GALNERYUS / ONE FOR ALL-ALL FOR ONE 【89点】

作品を重ねるごとにスケールアップしていくジャパニーズ・メタルバンドのエース、GALNERYUSの4thアルバム。その威光はさらに輝きを増していて、日本はおろか、ワールドクラスでもこれほど良質なヘヴィメタルを提供してくれるバンドは稀だと感じさせる力作。今回はネオクラシック風味はさらに薄れ、正統派ハードロックだったり、クサメロジャパメタだったり、爽やかメロハーだったりとかなりバリエーションに富んでいる。顕著な違いは日本語詞が3曲あること。先行シングルの「Everlasting」は、いま思いつく最高のメロディを詰め込んだ、というだけあって出色の出来。Syu(g)のギターは、ウリ・ジョン・ロートやマイケル・アモットのような域。もちろんキーボードとのバトルも随所に出てくる。

CARMEN GRAY / THE PORTRAIT OF CARMEN GRAY 【85点】

AMORPHIS / SILENT WATERS 【91点】

前作で完全復活を遂げてファンを唸らせたフィンランド産メロディック・デスメタルバンドの8作目。メロディック・デスの黎明期からシーンを支え、苦難を乗り越えて蓄えられたパワーが貫禄となって押し寄せる作風は過去最高の仕上がりといっていい。洪水のように押し寄せるメランコリックな叙情世界が圧巻。母国フィンランドの伝承を集めた「カレワラ」という叙情詩をベースに具象化されたという曲の数々は全編を通して一大叙情詩の世界を作り出している。美しいアートワークもしかり。次々と繰り出される美しいメロディは重厚なサウンドとピアノの旋律により彩られ、グロウルとクリーンのメリハリあるヴォーカルの使い方も絶望感を完璧に表現している。