Music Review : 2004年04月

PETE LESPERANCE / DOWN IN IT 【87点】

HAREM SCAREMのギタリスト、ピート・レスペランスの1stソロアルバム。ギタリストのソロアルバムとはいえ思ったよりずっと「歌モノアルバム」だ。もちろん、ギタリストとしてのキャリア・力量に疑う余地もないヒトであることからギタープレイにおいては満足だったのだが、ピートのアクのない声にのるHAREM SCAREMよりライトなモダン・ポップ寄りの心地よいサウンドの中ではギターのフィーチュア度はやや押さえ気味で(でも随所にテクニカル)、そのヴォーカル・オリエンテッドな雰囲気がとても気持ちよい。そして歌メロの質が非常に高い。ボーナストラックではHSっぽいメロディックなインスト「Trouble With Pets」収録。バンドでは本来の姿を取り戻したことでホッとしたけど、この音を聞いているとホントはもっとモダンなことがやりたいのかなぁと心配になったりして…。(H)

TAD MOROSE / MODUS VIVENDI 【85点】

スウェーデン出身、あのFREDRIK NORDSTROMが手掛けるTAD MOROSEの6th。たたみ掛けてくる重厚なツインギターのリフと、それに対を成す透明感のあるVo。特にハイトーン部分はトニー・ハーネルを彷彿とさせ、攻撃性のある音と融合してとても聞きやすい。全体的に暗く鬱蒼とした背景が醸し出されており、要所に現れる切ないほどのギターの泣き、そしてキャッチーなサビではコーラスは二重三重に重なり合い、彼らの持つ世界へと誘う。アルバム全体に一貫した力強さの中に美しさがあり、どの曲も完成度は高い。特に#5「Cyberdome」はそれに加えて切なさも交じり合い、琴線に触れてくる佳曲。音質がいまいちなボーナストラックは、個人的に蛇足に思える。(K)

DARK TRANQUILLITY / LIVE DAMAGE 【82点】

2002年ポーランドでのライブの模様を収録したDARK TRANQUILLITY初のライブDVD。その他にブートレッグ映像やプロモーションビデオも収録されたお得な内容だ。雑誌の記事などからしてこのバンドについているイメージは「スタジオ録音は精密だけどライブはしょぼい」だったけど、この映像を見る限り一体感はあまりないけどそれでも貧弱な感じでもなく、なかなか良質なパフォーマンスを見せてくれていると思う。とにかくこのバンドがいかによい曲をたくさん書いてきたかが改めて分かるセットリストだ。(H)